研究課題/領域番号 |
15720072
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
各国文学・文学論
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
笠井 直美 名古屋大学, 大学院・国際開発研究科, 助教授 (90251389)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2005
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研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
2005年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
2004年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2003年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
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キーワード | 「民族」意識 / 五代史 / 楊家将 / 白話小説 / 戯曲 |
研究概要 |
今年度は収集した諸資料の分析を進めると共に、電子コーパスについては資料を引き続き拡充すると同時に、試験的な検索システムを構築し、分析を進めた。 昨年度、仮説として提示した「五代・宋初に取材する講史小説・戯曲における「民族」「国家」に関わる言説は、明末(萬暦中期頃?)に画期があり、物語内容のみならず語り口にも、<われら>と<かれら>を截然と切り離そうという傾向が強くなっている」という傾向については、分析対象を広げて検討した結果、ある程度そのような傾向が裏付けられることが明らかになった。(ただし、やや異なる方向性を示す資料もあり、また、講史以外の白話文学の調査も十分でないので、なお慎重に検討する必要がある)。その背景としては、(1)白話文学の作者・受容者層の高級化、(2)明末の北辺の患・清朝による支配への反発、(3)既に社会史・思想史方面において指摘されている、明末清初における「中国社会の『秩序化』」「儒教・朱子学の瀰漫化」の傾向との関連、等が考えられる。 電子コーパス構築は、外注による主要資料の電子化を一通り終了し、『南北宋志傳』は第一校を終了した。校勘作業を通じ、HT_CJK外字とUnicode CJK ExtensionBの対応づけ、異体字テーブルの整備など、解決に時間を要する課題が幾つかあることが明らかになった。同時に、Web上やCD-ROMなどで無料または安価で供給されている(あまり学術的には正確と言い難い)電子テキストについても、ひととおり調査を行った。また、CGIプログラムによる試験的な検索システムを構築した。校勘未了分も含めて試用してみた結果、このシステム、特に正規表現検索によって、それなりに興味深い分析が可能であるが、十分に活用するためには、より処理スピードを上げる、検索対象となるデータに有効なヘッダ付けやマークアップを行うなどの改善が必要であることが明らかになった。
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