研究課題/領域番号 |
15720147
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
日本史
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研究機関 | お茶の水女子大学 |
研究代表者 |
神田 由築 お茶の水女子大学, 文教育学部, 助教授 (60320925)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2005
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研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
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配分額 *注記 |
2,600千円 (直接経費: 2,600千円)
2005年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2004年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2003年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 芸能 / 興行 / 芝居 / 近世 / 都市 / 文化 / 役者 / 歌舞伎 / 遊芸 / 男色 / 芸能興行 / 侠客 / 説教者 |
研究概要 |
今年度は地域社会における芸能文化に焦点をあて、以下の二つの作業を行った。まず一つめは、役者村と呼ばれる九州・中国地方に展開した芸能者の集住村落の分析である。その結果、役者村の特徴として、(1)集住形態からみて地縁的集団であり、同時に幾重にも結ばれた血縁関係を基本とする同職者集団でもある点、(2)実際の興行においては、「集住」とは相反する「流動」的存在である旅役者や旅芸人を組み込んで、むしろそれらの存在を前提にして成り立っていた点、(3)西日本における役者の一大「供給」地として圧倒的な地位を占めていた大坂の役者と、「旅の弟子」という形で密接な関係を作っていた点、などが具体的に明らかになった。また、これら役者村の近世期における活動の実態と、明治期における推移を比較して、興行ごとの契約の方法が不文律から明文化されていくことや、明治期になって、近世期の領主の支配そのものが解体したにもかかわらず、巡業地域や血縁関係に支配体制の名残が見出せることが明らかになった。 また二つめは、農村における芸能文化に着目して、そのデータを集積したことである。巨大都市での芸能興行とは別に、農村でも百姓自身による、いわゆる地芝居と呼ばれる独自の芸能が行われていた。本研究では、具体的なフィールドとして香川県小豆島の中山歌舞伎を選び、中山に関する資料調査を行った。その結果、小豆島での歌舞伎の存続には「振付師」と呼ばれる、演技指導や本番の差配などさまざまな働きを行う人々が、大きな影響を与えていたことがわかった。彼らのなかには、大坂芝居で修行をした役者出身の者もおり、たんに農村歌舞伎の指導者としてだけでなく、巨大都市と地域社会の文化をつなぐ架け橋の存在として、大いに注目された。今後も研究の必要が痛感される。
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