研究課題/領域番号 |
15720191
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
考古学
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研究機関 | 奈良県立橿原考古学研究所 |
研究代表者 |
水野 敏典 奈良県立橿原考古学研究所, 調査第1課, 主任研究員 (20301004)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2005
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研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
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配分額 *注記 |
3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
2005年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2004年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2003年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
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キーワード | 畿内政権 / 銅鏃 / 鉄鏃 / 製作技術 / 地域性 / 武器 / 武具 / 古墳時代 / 考古学 / 武装 |
研究概要 |
弥生時代終末から古墳時代前期を中心とした中部、近畿、中国地方の鉄鏃、銅鏃の出土地の集成、および編年上問題となるであろう武器、武具の実見をすすめ、鉄鏃と銅鏃の編年案の作成をおこなった。 なかでも、研究の基幹をなす編年作成については、主要な型式の抽出を行い、編年上確認もしくは作図が必要と考えられた資料については、宮内庁所蔵の奈良県佐味田宝塚古墳、広陵町石黒山古墳、衛門戸丸塚古墳、大阪府津堂城山古墳鉄鏃、ヒエ塚古墳、ノムギ古墳出土鉄器、桜井茶臼山古墳鉄鏃、銅鏃、愛知県西上免遺跡出土銅鏃、岐阜県金ヶ崎遺跡銅鏃、朝日遺跡銅鏃、岡山県宮山墳墓出土鉄鏃、銅鏃、剣などについては,実測図を作成し、研究の基礎を固めた。 その作業の中で、各主要型式の集成作業を進め、銅鏃の型式分布が極めて強い地域性をもつことを確認した。たとえば、奈良県は畿内政権成立時の政治的中心であることが墳墓のあり方から推測されるにもかかわらず、典型的な古墳時代前期銅鏃の型式とおもわれた定角式は、銅鏃編年の最終段階の佐味田宝塚古墳出土品のみで、大和からの出土は確認されていないこと、ホケノ山古墳に代表される腸抉柳葉式は、石黒山古墳をはじめ、伝中山出土品など大和の主流をなすが、その分布に偏りがあること、また、京都府では無茎の銅鏃が多いなど、畿内の周辺地域と比較しても強い地域性が認められた。 また、弥生時代のおもに集落出土の銅鏃は、鎬をもつものの研ぎ出しは弱く、特に腸抉柳葉式もしくは長三角の鏃身をもつものの腸抉は、鋳型に鎬状の稜が掘り込まれているものの、鋳造後に鎬を強調するように研ぎ出させる例は確認できなかった。逆に言うと、中茎と鏃身の接合部の研磨から古墳時代の銅鏃の技法を抽出できそうである。 鉄鏃についても、厚みをもった鏃身尻に明瞭な面を造り出し、鎬を意識した研ぎ出しの技法と短茎の鏃の大型化に古墳時代の鉄鏃製作技術を抽出できそうである。
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