研究課題/領域番号 |
15730034
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
刑事法学
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研究機関 | 立教大学 (2004) 千葉大学 (2003) |
研究代表者 |
小林 憲太郎 立教大学, 法学部, 助教授 (10312927)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2004
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研究課題ステータス |
完了 (2004年度)
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配分額 *注記 |
2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
2004年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2003年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
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キーワード | 証券取引法 / インサイダー取引 / 経済犯罪 / 経済刑法 / 課徴金 / 証券犯罪 / 相場操縦 / 損失補てん / 損失保証 |
研究概要 |
かねてよりわが国において、いわば倫理的に無色であったインサイダー取引や損失補てんに対して、社会倫理的な非難を中核とする刑事制裁を科すことは、すでに刑法理論のうえでも問題を含むものであった。しかし今日、とくに米国の影響のもとで、インサイダー取引などに対する社会の否定的価値判断が定着するにつれて、むしろ主要な問題は刑事制裁のあり方、そして、これに加えて賦課される行政制裁との関係に移ってきたといえる。 まず前者については、インサイダー取引などの不法の実体が、一般国民にも十分に理解されるに至ったことをふまえ、諸外国の例にならって、従来のように形式的な数値ではなく、より実質的な、規制の趣旨に着目した構成要件へと改正することが望ましいと考えられる。あまりにも形式的な規制は、脱法行為を容易にすると同時に、規制の実質的な趣旨に照らして当罰的な行為を捕捉するため、文言を超えた処罰への誘引を含むことになる。 次に後者については、一面で刑事制裁の厳格なプリンシプルから自由である行政制裁が、他面で烙印効果を欠き、また原則として強制的な証拠収集手続を利用できないことを勘案する必要がある。従来は課徴金制度の積極的な運用だけが一方的に説かれ、それが二重処罰の禁止に抵触しないかという消極的な問いだけが学術的議論の対象となってきた。しかし行政制裁の持つ、上記のような短所を考え合わせると、あくまで可罰性の実体を備えるものに限ってではあるが、むしろ刑事制裁を優先して適用することもあり得ると考えられる。
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