研究課題/領域番号 |
15730051
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
民事法学
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研究機関 | 駒澤大学 (2004) 長崎大学 (2003) |
研究代表者 |
川口 幸美 駒澤大学, 法学部, 助教授 (50315214)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2004
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研究課題ステータス |
完了 (2004年度)
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配分額 *注記 |
1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
2004年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
2003年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | コーポレート・ガバナンス / 委員会等設置会社制度 / 委員会等設置会社 / 社外取締役 |
研究概要 |
監査役会制度を廃止し、委員会等設置会社制度を採用した企業(2004年度6月末において67社。うち上場企業は46社)に対し、その採用理由・時期・構成員の人数の変化等について調査を行った。またいくつかの採用企業にヒアリング調査を行い、その他の各企業のホームページ、EDINETにより取得した有価証券報告書、学術雑誌の調査結果の内容等も利用して、実態の把握に努めた。アンケートの結果からは、新制度を採用した企業数が予想よりも少なく、これは平成13年の議員立法による監査役設置会社における社外監査役の候補者確保のため、施行年である平成18年の定時株主総会がガバナンス・システムの選択を実際に迫られる時期であると考えられ、様子を見ている企業が多数であることが考えられる。また、すでに委員会等設置会社に移行した企業を分析すると、次の4点が特徴として確認できる。(1)海外の証券取引所に上場するなど、外国人株主の所有割合が高い企業が多い。(2)法改正以前から、コーポレート・ガバナンスの改革に積極的に取り組み、業務執行機能と監督機能の分離を実現している企業が採用しているケースが多い。特に、グループ企業にこの傾向が顕著に見られる。(3)会社再建のために、支援してくれる債権者間の調整を図り、経営者を監督する手段として、委員会等設置会社を採用するケースも複数ある。 本研究では法制度がガバナンス・システムの選択を可能としたことで、企業の効率性にどのような影響を及ぼすかを測定する一手法として、委員会等設置会社を採用した企業46社の株価の動きを、採用した目から前後1年間に亘り、同時期のTOPIXを基準に回帰分析を行った。サンプル数が少ないので、分析結果の信頼性については疑問の余地はあるものの、新制度を採用した企業は平均4%の株価の上昇が見られる結果となった。この数値を素直に読めば、委員会等設置会社制度が会社の効率性を向上させていると解釈できるが、実証研究の分析結果の解釈は非常に微妙で、これらの企業は新制度を導入すると同時に他の経営改革を行っているケースが多い(例 取締役を減員し、規模を縮小させている。事業部ごとのカンパニー制の導入等)。従って純粋に法制度の変更が与えた影響と理解するのは早計である。
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