研究課題/領域番号 |
15730055
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
民事法学
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研究機関 | 大阪学院大学 (2004) 北陸大学 (2003) |
研究代表者 |
新井 剛 大阪学院大学, 法学部, 助教授 (30360217)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2004
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研究課題ステータス |
完了 (2004年度)
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配分額 *注記 |
1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
2004年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
2003年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
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キーワード | レシーバー / 事業継続 / デューデリジェンス / エクイティ / 管理人 / 管理財産の不可侵性 / 刑事的対処 / Injunction / 善管注意義務 / 計算報告書 |
研究概要 |
本年度は、イギリス・レシーバー制度の中身・実態を明らかにすることを目標とし、次のような研究実績を得た。まず、レシーバー制度は、レシーバーが担保目的物を管理し賃貸に出して、そこから生じた収益を担保権者等に配当することを目的とする制度である。したがって、レシーバーは担保目的物の差押え、改良、賃貸、領収書交付等の権利を有し、義務を負うとされている。しかし、担保目的物を魅力的で市場性の高い物件に変えることまではレシーバーに義務づけられていない。また、レシーバーは必要なら担保目的物を売ることができないわけではない。ただし、そのためには特別な許可が必要であるとされ、この場合のレシーバーの義務は代理人に委任できない義務であるとされている。さらに、担保目的物を利用して執行債務者が何らかの事業をしていた場合に、レシーバーがその事業を継続できるかについては可能であるとされている。ただし、事業継続を決定する際には、レシーバーはデューデリジェンス(収益性とリスクの総合分析)をおこなう必要があるとされている。そして、レシーバーは適当な能力をもとに、正当な手続を踏んで事業継続をすることが求められている。レシーバーはモーゲージ権者と利害関係人に対して義務づけられている。この義務はエクイティと信義則によるものである。担保目的物の賃貸により生じた収益は優先的コストや税金、修繕費、保険、レシーバーの手数料などの諸費用が差引かれた後、その残りがモーゲージ権者等に配当される。レシーバーの手数料は特別な取り決めがない限り、通常は総収益の5パーセントとされているようである。以上のレシーバー制度の考察から、日本における担保不動産収益執行制度も単に担保物権を賃貸に出して収益を上げるだけではなく、事業継続をも念頭に入れた制度として、より広い視野から制度運用すべきことを提案しておきたい。
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