研究概要 |
"On the Role of Tax-Subsidy Scheme in Money Search Models"(神谷和也氏との共著)を改訂した(現在International Economic Review誌に改訂要求後再投稿中).この論文では,研究成果欄記載の"Real Indeterminacy of Stationary Equilibria in Matching Models with Divisible Money"で貨幣の探索モデル(search model of money)において厚生水準が異なる無数の定常均衡が存在すること(「定常均衡の実物的非決定性」("Real Inderterminacy of Stationary Equilibria"))が示されたことを受けて,ある種の「課税-補助金政策」(tax-subsidy scheme)が任意の定常均衡を局所一意的に近似することを示した.すなわち,「課税-補助金政策」は経済を安定的にするとともに,望ましい状態へ誘導することが可能であることを示した. また"Existence of Equilibria in Marching Models of Money : A New Technique"(神谷和也氏との共著)を改訂した(現在Economic Theory誌に改訂要求後再投稿中).この論文では,研究成果欄記載"Real Indeterminacy of Stationary Equilibria in Matching Models with Divisible Money"の結果を利用することにより、貨幣の探索モデルでの貨幣均衡の存在を示す新しい手法を提案した.研究成果欄記載の"On the Existence of Single-Price Equilibria in a Matching Model with Divisible Money and Production Cost"はこの手法をZhou (1999)のモデルに応用した結果である. また"A Dynamic General Equililbrium Model with Centralized Auction Markets"(神谷和也氏との共著)を作成した(現在投稿準備中).この論文では,貨幣の探索モデルの分析で得られた定常均衡の実物的非決定性が中央集権的なオークション市場にも拡張されることを示した.この結果は,従来の一般均衡市場の基礎についての研究において無視されてきた経済の動学的側面およびそこでの貨幣の機能に着目することによって得られた結果である. また現在"Game Theory in Hypothetical Induction"(松井彰彦氏との共著)を作成中である.この論文では,通常のゲーム理論で想定される各プレーヤーが客観的モデルを知っているという仮定を外し、彼らが自分の経験から仮説形成的に主観的モデルを構築していくような状況を考察し,どのような戦略的状況・経験の下で客観的世界を主観的モデルとして復元できるかを分析している.
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