研究課題/領域番号 |
15730114
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
応用経済学
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研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
阿部 修人 一橋大学, 経済研究所, 助教授 (30323893)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2005
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研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
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配分額 *注記 |
3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
2005年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2004年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2003年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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キーワード | 景気循環 / 雇用調整 / 所得格差 / 消費格差 / 予備的貯蓄 / 希望退職 / 家計調査 / ライフサイクル / カルマンフィルター / マクロショック / アジア企業 / 通貨危機 |
研究概要 |
平成17年度は(1)景気後退下での企業の雇用調整行動の分析(Abe and Shimizutani (2005))と(2)新たな分析として、全国消費実態調査を用いて、1984年から1999年までの15年間における家計の消費行動の分析(Abe and Yamada (2006))を行った。(1)は、内閣府による「企業行動に関するアンケート調査」の個票データを用い、人件費が過大であると答えた上場企業が、どのようにして人件費削減を行うかをMulti Variate Probitにより分析した。その結果、取締役が内部出身者で占められている企業は新規採用の抑制を行うが、外部出身者が多い企業は新規採用抑制ではなく、早期・希望退職の拡大により対処していることがわかった。これは、雇用重視と言われてきた日本企業に、長期に渡る景気低迷と企業統治構造の変化により、人件費削減手法に関して多様性が生じてきたことを示している。(2)に関しては、家計が直面する所得の不確実性を描写する確率過程をまず推計し、その元で、ライフサイクルにおける消費格差が予備的貯蓄モデルと整合的であるか否かをリスク回避度の構造推計を通じて分析した。その過程で、年齢毎に比較した場合、所得格差は、1990年代に入り増加したとは言えないが、勤め先産業や職種をコントロールすると、所得変動の持続的要素は拡大傾向にあるという結果を得た。これは、景気循環の賃金に対する影響が産業により異なり、同一産業内での賃金格差(その中の持続的要因)が拡大していることを示すものである。また、所得の不確実性は年齢により異なり、日本では40代後半から持続的な所得ショックの分散が増加していること、およびその消費格差への影響は大きく、日本における消費格差の年齢プロファイルを分析する際には、所得の不確実性の年齢による違いを考慮する必要があることが示された。
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