研究概要 |
本研究では平成8年度から平成13年度までの,全国各自治体がごみ処理(焼却・焼却以外の中間処理・最終処分)に費やしている費用を調べ,費用効率性の水準と変動について検討をおこなった。その結果,以下の3点が明らかになった。 まず,トンあたり処理費用は平成8年度から13年度にかけて30651円から37672円へと上昇していた。人口規模および組合への参加有無に関してさらに詳しく見ると,人口規模10万人以上と未満では有意な差が見られた。 政令指定都市と東京特別区に着目したパネルデータ分析によると,容器包装リサイクル法によって費用が上昇したという結果ははっきりとは得られなかった。ただし東京特別区を除いた分析では,資源化量の増加1トンにつき2万6千円の費用上昇することが示唆された。 さらに,各自治体の取り組みを評価するMalmquist生産性指数を計測し,経年変化を調べた。仙台市,東京特別区での生産性上昇と,大阪市,神戸市における生産性低下が確認された。また名古屋市は各年度のフロンティアで評価した技術効率性の平均値では低い位置にあるが,平成12年度から平成13年度にかけての技術効率性改善度は高いことなどが分かった。 リサイクルの促進にともない収集,選別に要する処理費用は上昇するが,自治体の工夫によっては,こうした処理費用の上昇を抑えていくことは可能であると思われる。そのためには多様な観点を含めた効率性の評価をおこなうと同時に,自治体間の情報交換などを通じた,コスト削減を促すための取り組みを進める必要がある。
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