研究概要 |
本年度の研究実績の概要は以下のとおり. (1)賃料インデックスの算出 昨年度までの成果をもとに賃料インデックス精緻化を図った.本研究で使用している不動産価格データは実売買の取引データであるため時点によって,サンプルの分布が異なることが予想される.サンプルにおける価格分布および空間的分布に偏りが存在し,データにバイアスが内在する場合,取引データを使用したヘドニックインデックスにもバイアスが含まれることになる.これは,sample selection biasとして,先行研究でも指摘されているものである.sample selection biasの除去方法としては,労働市場における賃料分析でHeckman(1979)が行ったプロビットモデルによる方法がある.本研究では,この方法を適用して取引事例データから不動産購入選択モデル推定し,その結果を利用したヘドニックモデルの再推定を行っている.その結果,本研究の対象期間である80年代以降では,バブル期の80年代後半から90年代初頭の時期において,取引事例データを利用したヘドニックインデックスにはsample selection biasが含まれる可能性があることが実証された.また,同じくHeckman(1979)の方法を利用してbiasを除去したインデックスを作成している.さらに,本研究で提案したインデックスと既存のインデックスとの比較を行っている. (2)研究成果の報告 以上の研究成果について,アメリカ不動産学会の機関紙であるReal Estate Economicsに投稿中である.
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