研究概要 |
本研究では,中小製造業の活力復活を,技術マネジメントという側面から検討した。平成17年度に行った研究については以下のとおりである。 まず,中小企業の活力復活のためのしくみやそれを支える要因についての検討を引き続き進めた。第一に,中小企業において個人の学びをいかにして組織全体の技術力・競争力向上に発展させていくかについて,そのしくみのあり方を,ケース等を通じて考察した。第二に,企業の社外への視野の拡大という要因に関連し,企業と地域との関係構築についても目を向けた。企業が地域との関係を構築することにより,戦略立案やネットワーク,人材育成など,様々なマネジメントの側面を強化でき,それは技術力にも影響を与えうる。また中小企業にとっては地域の存在が貴重な経営資源になりうるとの示唆も得た。 これらと並行して,中小製造業が活力を持つための要因の整理を試みた。取り上げたのは新たな技術の導入,自社内での異なる技術の融合,社外への視野の拡大,自社技術の定義,技術力向上を支える人材といった要因である。各要因におけるマネジメントのあり方を検討するとともに,さらに効果をもたらすために具体的な企業活動のなかで要因間をどのように結びつけていけばよいのかについても考察した。 本研究のプロセスでは,その業界・業務分野でナンバーワンの技術力をもっていたり,いわゆるオンリーワンの独自技術を持っていたりする企業だけではなく,現実に存在する多様な中小企業の活力増強に資することを意識した。ヒアリング調査等で収集してきたケースやデータをふまえ,日本の多くの中小企業にもそのマネジメント手法が応用可能なものになることを心がけたためである。 以上の研究を,成果としてまとめることにもつとめた。
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