研究課題/領域番号 |
15730186
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
経営学
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研究機関 | 横浜国立大学 (2004) 神戸大学 (2003) |
研究代表者 |
真鍋 誠司 国立大学法人横浜国立大学, 助教授 (10346249)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2004
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研究課題ステータス |
完了 (2004年度)
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配分額 *注記 |
1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
2004年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2003年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 企業間信頼 / 自動車産業 / 取引関係 / 系列 |
研究概要 |
本研究では、まず日米自動車産業におけるサプライヤー・システムを比較分析することによって、現在の取引構造の違いを明らかにした。質問票調査の分析により、現在においても日本は米国よりも協調的な取引関係を構築していることが明らかになった。 次に、日本自動車産業について、トヨタを最大の顧客にしているか否かによってサプライヤーを区分して比較を試みた。 まず、「信頼」と信頼構成要素(関係的信頼・合理的信頼)は、そのいずれもが、トヨタ・サプライヤーの方がトヨタ以外・サプライヤーよりも、各々の顧客(自動車メーカー)に対して高い期待を抱いていることが明らかになった。この分析結果から、トヨタがサプライヤーから高い信頼を得るような仕組みを、意図的に設計している可能性について指摘することができるだろう。ひとつには、日常的なコミュニケーションや協力会に、トヨタ特有のやり方があるのかもしれない。 また、協調的取引関係における、組織間学習の成果、相互人員派遣、協力会と自主研・研究会、協調性とパワーの直接行使、信頼担保メカニズム、取引期間と経験について、2つのサプライヤー群に差異があるのかどうか検討した。平均データの数字上は、上記全てにおいてトヨタ・サプライヤーの方がトヨタ以外・サプライヤーを上回っていた。しかしながら、統計的に差異が認められたのは、このうちアセンブラーからの学習、相互人員派遣、自主研年数、取引期間、経験(対応能力)であった。 以上より、取引期間の長さや良い経験は、信頼を構築する際に重要な条件になる可能性がある。特に、予期できない状況は、取引相手の信頼性を確認する好機となるかもしれない。不慮の問題発生時に、トヨタ・サプライヤーの方が、顧客である自動車メーカーの協調的意図と能力を高く評価していることが明らかになっている。 さらに、自動車に比べて製品特性がよりモジュール的である白物家電製品(掃除機・洗濯機)の部品調達状況の聞き取り調査を行った。事前の予想に反し、部品の取引継続期間は短いとは必ずしもいえないことが分かった。同じ相手と取引を継続する傾向がみられるのである。 自動車産業・家電産業において脱系列化の進行も確認された一方で、継続的・協調的な取引関係の重要性もまた、明らかになった。
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