研究概要 |
先進諸各国において、医療・福祉領域における国庫負担の削減・民営化が議論される中、各国民の政府への期待はどのようになっており、またそれが国により異なるとすれば、その差異を規定する要因は何なのか。本研究は、これらの疑問について新たな知見を得ることを目的として、(1)医療、(2)高齢者福祉といった領域における各国民の政府への役割期待意識とこれを規定する要因を複数レベル(個人・国)において分析した。 具体的には、まず平成15年度において、奈良女子大学図書館、京都大学図書館、厚生労働省図書館等の利用や関連学会・研究会への参加を通じて、各国の医療・福祉政策についての文献及び社会意識に関する既存研究の文献検索・収集・複写を実施した。また、World Bank, United Nations等統計資料をもとに、26ヶ国についてのデータを入力し、国レベルの統計データを作成するとともに、ミシガン大学ICPSRからISSPの個人レベルのデータを入手した。そして、これらのデータをSPSS等を用いてクリーニングして、国レベルデータ、個人レベルデータ、両者を関連づけたHLMデータの3種のデータを作成し、各々を用いて、各種の要因分析を行った。 平成16年度においては、医療・福祉に関する意識の実態とその規定要因(個人・国レベル)をめぐって得られた知見を学会・研究会における発表論文へととりまとめ、国内外の学会・研究会等で発表するとともに、その折に得られた他の研究者からのコメントを踏まえて論文を改訂し、内外の学会誌に向けた投稿論文を執筆した。
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