研究課題/領域番号 |
15730257
|
研究種目 |
若手研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
社会学
|
研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
出口 剛司 立命館大学, 産業社会学部, 助教授 (40340484)
|
研究期間 (年度) |
2003 – 2005
|
研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
|
配分額 *注記 |
2,700千円 (直接経費: 2,700千円)
2005年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2004年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2003年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
|
キーワード | エーリッヒ・フロム / ナルシシズム(ナルチシズム) / サディズム / ネクロフィリア / ニヒリズム / 存在論的不安 / リアリティ / 攻撃性 / 存在の透明化 / アディクション |
研究概要 |
エーリッヒ・フロム(Erich Fromm, 1900-1980)の分析的社会心理学(Socialpsychology)は、おもにファシズム、大衆社会批判を目的とした権威主義研究、「父親なき社会」(ミッチャーリッヒ)、「ナルシシズムの時代」(ラッシュ)という言葉とともに、社会的権威の崩壊が指摘された1960年代後半以降に展開された破壊性・ナルシシズム研究に大別することができる。本研究の課題は、とくに後期の破壊性・ナルシシズム研究に照準を定め、思想史的、社会史的位置を確定しつつ、その現代的意義を探ることにあった。 後期フロムにおける破壊性・ナルシシズム研究は、社会現象としてのニヒリズム及び思想運動としてのニヒリズム双方を射程におさめつつ、それらに対して提出された社会心理学的応答と位置づけることができる。思想的に見れば、人間学的観点から定義された人間的本質(human essence)としての実存的二分性(existential dichotomy)の概念は、ハイデガーによるヒューマニズム批判に対する彼独自の回答として位置づけられ、ポジティヴな「生の技法(art of living)」を構想する準拠点ともなっている。またフロムは、ニヒリズム的状況が生み出す病理現象をネクロフィリア、ナルシシズム、サディズム等の一連の社会心理学的概念を用いることによって、その生成メカニズムを理論的、経験的に把握することができたといえる。 フロムがこのように思想的、現実的にニヒリズムと積極的に対決した時期は、まさに現代におけるポストモダン的状況が広まり始めた60年代後半から70年代にかけてのことであり、フロム社会心理学は、その意味で現代社会に噴出するさまざまな暴力現象を解明するための社会学的理論枠組みをわれわれに提供とするものと結論づけることができる。
|