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近代変動期における沖縄出稼ぎ民の移動と定着についての社会心理学研究

研究課題

研究課題/領域番号 15730276
研究種目

若手研究(B)

配分区分補助金
研究分野 社会心理学
研究機関茨城大学

研究代表者

石井 宏典  茨城大学, 人文学部, 助教授 (90272103)

研究期間 (年度) 2003 – 2005
研究課題ステータス 完了 (2005年度)
配分額 *注記
2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
2005年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2004年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2003年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
キーワード移動と定着 / 共同体の形成 / 市場共同体 / 身体配列 / ならい(倣い、習い) / ずらし / ならいとずらしの連環 / 類似性と多様性 / 共同性の再編 / ライフサイクル / 家族・親族 / コミュティ / ライフストーリー / 繋がり / 親族関係 / 同郷ネットワーク
研究概要

近代変動期における沖縄の一集落系移動民を対象にした長期的フィールド研究の成果は、出身地域での重層的な共同性を基礎に移動先の状況に適合するような繋がりの形をあらたに編み出してきた人々の姿を伝えている。本研究では、「共同体の再編」という観点から沖縄内外の移動と定着の過程を位置づけ、大阪、那覇、ハワイ等をフィールドにした調査を継続させた。研究計画の最終年度にあたる今年度は、戦後に沖縄本島内で起こった各集落から都市への移動にふたたび焦点をあわせ、なかでも那覇の新天地市場という衣料品総合卸市場の形成および展開過程を集中的に考察することに力を注いだ。現地調奪は、2005年8月〜9月および2006年3月の2度の計3度に分けて実施した。
市場での参与観察および体験者たちが語るライフストーリーの考察からは、類似性と多様性という特徴が指摘できた。市場共同体にみられるこれらの特徴は成員たちの間にみられる以下の共通性を母胎とする。(1)同世代性(1950〜1960年代の市場形成期に20〜30代だった女性たちがほとんどで、出産・子育てに至る時間的展望を共にしていた)、(2)類似の境遇(戦争=喪失体験を経て、終戦後に生活の糧を求めて各集落から都市へと芋づる式の移動を体験した)、(3)等分の空間に並列と接触の身体配列(各自が等分の商い空間を分け合い、自前の縫製品を前に置き身を摺り合わせるなかで商いをした)。これら3つの条件が、成員間に相互行為の伝播・伝染しやすさを用意したといえる。後続者たちは市場内の先行者をモデルとして「ならい(倣い・習い)」、商いのやり方を身につけ、それらを市場の慣習として定着させていった。その一方、各自は市場の外にモデルを求めることで同種の製品に自分なりの「ずらし(変化)」を施して客を引き寄せる工夫をした。この「ならい(まね)」と「ずらし」のサイクルの連なりが市場空間に類似性と多様性を現出させ、これらの多元・多重的な連環が市場中で展開しつづけることでたえず多彩な変化が生じ、市場は活気に満たされてきた。「ならい」と「ずらし」の連環という視点は、ひとつの場所を共にした人びとのあいだにみられる共同性と個性の同時生成過程を考察する鍵を提供するだろう。

報告書

(3件)
  • 2005 実績報告書
  • 2004 実績報告書
  • 2003 実績報告書
  • 研究成果

    (4件)

すべて 2006 2005 2004 その他

すべて 雑誌論文 (3件) 文献書誌 (1件)

  • [雑誌論文] 文化適応2006

    • 著者名/発表者名
      石井宏典
    • 雑誌名

      心理学総合事典(朝倉書店刊) (印刷中)

    • 関連する報告書
      2005 実績報告書
  • [雑誌論文] 職業的社会化と同郷ネットワーク2005

    • 著者名/発表者名
      石井 宏典
    • 雑誌名

      改訂版・社会心理学特論(放送大学教育振興会刊)

      ページ: 110-128

    • 関連する報告書
      2004 実績報告書
  • [雑誌論文] 当事者の視点を生かす-場所から生まれる語りを手がかりに2004

    • 著者名/発表者名
      石井 宏典
    • 雑誌名

      ワードマップ・質的心理学(新曜社刊)

      ページ: 240-245

    • 関連する報告書
      2004 実績報告書
  • [文献書誌] 石井 宏典: "戦場(いくさば)の跡を縫い合わす-那覇・新天地市場の女たち-"茨城大学人文学部人文学科論集. 41. 1-23 (2004)

    • 関連する報告書
      2003 実績報告書

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公開日: 2003-04-01   更新日: 2016-04-21  

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