研究課題/領域番号 |
15730277
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
社会心理学
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研究機関 | 東京学芸大学 |
研究代表者 |
高木 光太郎 東京学芸大学, 国際教育センター, 助教授 (30272488)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2004
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研究課題ステータス |
完了 (2004年度)
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配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
2004年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
2003年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | 供述 / 知的障害者 / 共同想起 / 対抗型想起コミュニケーション / 供述過程の重層構造モデル / 法心理学 / 目撃証言 / 取調べ / 対話 / 想起フレーム / 自白 |
研究概要 |
平成15年度の研究によって、知的障害者において対抗型想起コミュニケーションを成立させる基本要件として、過去の出来事の特定の側面を供述者と尋問者が共に参照する「想起フレーム」の構築が重要であることが見いだされた。 本年度はこの知見をより精緻なものにするため、知的障害者が被告人となった誘拐殺人事件の尋問過程の録音記録の詳細な分析をさらにすすめ、「想起フレーム」の構築をベースにした供述過程の重層構造モデルを構築した。このモデルでは供述を「過去の出来事への共同参照の構築」「共同想起への参加」「インタビュー型コミュニケーションへの参加」「説得・承認型コミュニケーションへの参加」という4層からなる重層的なコミュニケーション過程として理解する。「想起フレーム」の構築は、このモデルでは「過去の出来事への共同参照」に対応している。 供述における対抗型想起コミュニケーションは、直接的には供述における過去情報の提出責任/権利にかかわる「インタビュー型コミュニケーションへの参加」と、供述において提供された情報を評価する権利にかかわる「説得・承認コミュニケーションへの参加」の層において実現されるものであるが、それは供述を可能にするより基礎的な層である「過去の出来事への共同参照の構築」と「共同想起への参加」が実現され、維持されていることを前提とする。したがって、知的障害者が反対尋問に代表される対抗型想起コミュニケーションに適切に参加することを支援するためには、上記4層すべてについて有効な支援を提供する必要がある。 本研究が提唱する供述過程の重層構造モデルは、知的障害者などを対抗型想起コミュニケーションに適切に参加させるための支援を構造的なものにするために有効である。同時に、本モデルは供述過程一般のモデルとしても展開できる可能性があり、今後さらに研究を進めていく必要がある。
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