研究課題/領域番号 |
15730294
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
教育心理学
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
酒井 厚 山梨大学, 教育人間科学部, 助教授 (70345693)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2005
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研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
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配分額 *注記 |
3,800千円 (直接経費: 3,800千円)
2005年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
2004年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2003年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
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キーワード | 信頼感 / 児童・思春期 / 学校適応 / 問題行動 / 交差遅延効果分析 / 多変量遺伝解析 / 信頼関係ネットワーク |
研究概要 |
青少年の問題行動と学校不適応の発達プロセスに関して、子どもの気質・性格および親・きょうだい・親友との信頼関係ネットワークの両者を影響要因とする観点から、3年間の短期縦断的研究を行った。2時点両方の調査に参加した小学4年から高校3年の双生児によるデータを横断的に検討したところ(N=1338)、CBCL尺度(0〜2点)のExternalizingな問題行動(注意欠陥・多動性、攻撃性)の各学年の得点は、小4(3.65)から高3(1.81)にかけて徐々に減少し、Internalizingな問題行動(不安、抑うつ、心身症状)、学校での反社会的行動傾向(いじめ、授業妨害)、孤立傾向の得点は小4から高3まで安定する傾向を示した(Int:最大22で1.8、反社会:最大20で約6.1、孤立:最大28で約12.0)。 次に、問題行動と学校不適応の2年間での得点変化と、信頼関係ネットワークへの信頼感の変化との関連を検討した。第1時点における小学高学年生・中学生・高校生をグループとして2要因分散分析を行ったところ、小学生グループにおいて、2年後に母親や父親との信頼感が高まった子どもが、他の子どもに比べて学校での反社会的行動傾向が有意に低まることがわかった。 また、小学高学年生を対象に、家族に抱く信頼感、性格傾向である自己志向性、および反社会的行動傾向の3者間の因果関係について検討した。交差遅延効果分析(構造方程式モデリング)の結果、家族への信頼感や自己志向性が反社会的行動の高低に影響するという予想と異なり、家族への信頼感の高低に関わらず、先行時点での反社会的傾向の強さが2年後の自己志向性を低めるという因果が認められた。 以上から、小学生における親との信頼感の高さは子どもの学校での問題行動傾向を低めるが、子どもの性格形成という観点からは、学校での子ども同士の体験(反社会的行動)の方が家族への信頼感に比べ影響力が強いことが示唆された。 本研究の結果は「小学生の学校不適応と親への信頼感」(教育心理学研究)、「Causal relations between antisocial experience in school, self-directedness, and family trust in childhood and puberty」(Journal of Personality)として投稿準備中である。
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