研究概要 |
研究1 縦断研究として,小中学校7校において,動的学校画と授業逸脱への同調傾向を測定する尺度,ストレスの様相,教員から見たクラスの気がかりな子について尋ねる質問紙調査を行なった。2911名ものデータ数のため,学校画の詳細は現在コーディング中,解析中である。現在まで得られた知見は以下の通りである。(1)担任教師のクラスで気になる子の特徴の第一位は,「落ち着きが無く多動,集中力不足」で20%,第二位が「友達が少なくクラスに馴染みきれていない」で19.7%,第三位が「時々パニックになり,感情の抑制がきかない(キレる)」で17.2%であった。現在,学校画の描画特徴との関連を解析中である。(2)中学生は,小学生よりも学校生活を振り返ると今現在の生活に不満足感を抱く傾向があることが考えられる。(3)作成した「授業逸脱への同調傾向」尺度の因子分析から,「雰囲気流され同調」「放任無視」「仲間関係重視による同調」の3因子を抽出した。統計的検定の結果,中学生は小学生よりも逸脱行動に同調しやすいことが考えられた。逸脱行動への同調傾向と学校画との関連は解析中である。 研究2 小5小6の計35名の小学生を対象に,3年〜4年間に児童が描いた学校画を提示し,身体の省略・区分化や包囲を描いた理由を尋ねる構造化面接調査を行なった。得られた知見は(1)区分化や包囲は,写実的な表現のために描いたという回答が多いものの,一部の児童に「こういう場面では緊張した」というコメントがあり,心理的な要因で区分化や包囲を描いた可能性も考えられた。(2)身体の省略については,「描くのが難しかったから」と答える子どもが多いが,「あれ?!どうしてこれだけ欠けているんだろう!」と驚き,考え込む子どもが複数いた。無意識的な行動化によって,身体省略を行なった可能性もある。既に,若手研究Bで来年度の研究助成を申請しているが,今後は外国人子女クラスの学校画調査を行なう予定である。
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