研究課題/領域番号 |
15730336
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
実験心理学
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
十河 宏行 京都大学, 文学研究科, 助手 (90359795)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2004
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研究課題ステータス |
完了 (2004年度)
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配分額 *注記 |
3,100千円 (直接経費: 3,100千円)
2004年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
2003年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
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キーワード | 視覚運動統合 / 眼球運動情報 / サッカード / 空間視と物体視の相互作用 / Kanizsaの主観的輪郭図形 / 視野の安定化 |
研究概要 |
人間の視覚において、眼球運動によって網膜像が変化しても安定した空間が知覚されることを「位置の恒常性」と呼ぶ。位置の恒常性を実現するためには、外眼筋の固有受容感覚や運動指令の遠心性コピーなどに基づいた眼球位置情報と、網膜からの視覚情報を適切に統合する必要がある。我々の日常生活において、位置の恒常性のメカニズムは正しく機能しているように感じられる。しかし、実際にはサッカードと呼ばれる随意的な眼球運動時に瞬間提示された物体が実際に提示された位置と異なる位置に知覚されるという錯視が起こることが知られている。では、人間の位置の恒常性のメカニズムが実際にはどのようなものであり、なぜ日常生活においてそのメカニズムが正しく機能するのだろうか。 これらの疑問に関して、本研究ではサッカード実行直前に瞬間提示された図形がどのような形に知覚されるかを心理実験によって詳細に検証した。それらの実験の結果、「サッカード実行直前に瞬間提示された図形の形状知覚はサッカードに伴う位置の錯視の影響を受けない」という先行研究の結果がKanizsaの主観的輪郭図形の知覚については当てはまらないことが明らかになった。この結果より、サッカードに伴う位置の錯視はKanizsaの主観的輪郭図形の知覚に時間的に先行することが示唆された。また、Kanizsaの主観的輪郭図形の知覚を含む高次の形状知覚処理過程は、網膜からの視覚情報をそのまま利用しているのではなく、眼球運動情報と統合された後の視覚情報を用いていることが示唆された。
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