研究課題/領域番号 |
15730365
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
教育学
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研究機関 | 首都大学東京 |
研究代表者 |
小國 喜弘 (小国 喜弘) 首都大学東京, 都市教養学部, 助教授 (60317617)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2005
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研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
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配分額 *注記 |
3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
2005年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2004年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2003年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | 教育学 / 国民教育 / 生活綴方 / 歴史 / 戦後史 / 国民国家 / 民俗学 / 社会科 / 郷土教育 / 授業 / ナショナリズム / 教育史 / 沖縄 |
研究概要 |
国民的歴史学運動のひろがりについて検討することを本研究の課題とした。 これまで、国民的歴史学運動の金字塔的な作品とみなされてきた加藤文三の東京都立大学人文学部歴史学科の卒業論文である「石間をわるしぶき」を取り上げ、その後の加藤文三の中学校教師としてのとりくみに即して、国民的歴史学運動がどのように社会科教育のなかでその精神が生かされていくことになったのかを検討した。また、岡山県における月輪古墳における大衆的発掘による日本史の起源物語の再構築の試みについては、それが周辺の中学校・小学校での教育実践にどのような波及を与えてきたかを明らかにしてきた。さらに、沖縄復帰闘争における沖縄内・本土内における取り組みには、沖縄と本土との歴史関係をどのように表象し直すのかをめぐる様々な教育実践が展開していた。これらについて検討をすすめることによって、沖縄復帰闘争に関連した社会科教育実践における国民史の再構築について明らかにしようとした。 以上がこれまでの研究業績であり、今年度については、改めて国民的歴史学運動の拡がりを生活綴方運動、さらにはそれを実施した国語科教育の中に調べ直そうと試みた。 生活綴方運動の検討を通じて、改めて浮かび上がってきたのは、植民地主義の複雑な投影であった。特に国分一太郎において、戦前の山形県長瀞小学校での実践では、東北地方を日本における内国植民地であると見なす発想が実践の根底に存在していたし、戦後においては、アメリカ帝国主義によって事実上植民地化された国家であると日本を見なす発想が実践の根底には存在していた。これら植民地主義的な機能が複雑で微妙なメタファーとなって戦前から戦後の日本に存在していたのであり、それが国民的結合を下から促す際に作動していた。今後はいままで検討したことを踏まえて、本にまとめていきたい。
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