研究概要 |
本年度は,ヨーロッパ統合化過程のスコットランドの公教育について,教育空間次元の変化がもたらす学校教育への影響とその意味の一端を明らかにすることを目標に,具体的には,(1)スコットランドの教育改革プランについて考察する,(2)学校カリキュラムへの影響を考察する,の2点に重点をおき,研究を進めた。研究概要は次の通りである。 (1)スコットランドの教育改革プラン 2004年秋に発表されたスコットランドの学校教育改革プランについて,政策文書等の資料収集をおこなった。ヨーロッパ統合に対する対応等については,大きくは取り上げられていないが,今後の改革プランの実施展開と共にさらに分析する必要がある。 (2)学校カリキュラムへの影響 ヨーロッパ統合と関わった教育空間次元の変化が学校カリキュラム計画にどのような影響を与えているのかについて,エディンバラ市教育当局の国際教育担当者への聞き取り調査をおこなった。調査によると,スコットランドでは,この1,2年,ヨーロッパよりも,global educationとしてアフリカのいくつかの国に焦点が当てられた交流活動のほうが活発であった。その要因の1つとしてスコットランド政府の政策方針に左右されることが大きいことがあげられた。この点は今後も注視していきたい。また,ヨーロッパ関係のプログラムについては募集が多すぎること,各主催のプログラムが実施日等を含め重複している場合が少なくないことなど,やや乱立気味であることも見えてきた。これらを含め,今後も全体の分析を継続して行く予定である。 以上の成果の他,本研究課題を実施する過程において,初年度に国内で立ち上げたEUと教育の研究ネットワークを活用することができ,そこから新たな研究グループを形成し,調査研究を開始することができた。なお,本研究課題の成果発表は,論文投稿準備中である。
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