配分額 *注記 |
3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
2005年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2004年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2003年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
|
研究概要 |
本年度は,主として次の3つの点を明らかにした。 第1に,2年間のサービス・ラーニング(Service Learning,以下"SL"と略称)に関する研究を踏まえ,日本におけるSLの可能性を探った。まず,大学の講義「社会認識教育論」(学類講義)と「公民教育論」(大学院講義)において,前者では「つくばエクスプレス」を,後者では「ホームレス」をそれぞれ題材として取り上げ,SLを展開した。次いで,NPO法人「しずおか地域支援ネット』と協力し,静岡市の小学生を対象に,「オムニバスタウン計画」を題材として取り上げ,SLを展開した。両者の実践より,SLを通して,学習者の「行動的シチズンシップ」を高めることは可能であるという結論に至った。 第2に,第1の研究を進める過程で,日本にSLを導入する際には,「カリキュラム統合」の観点に特に留意する必要があることを明らかにした。社会科や公民科でSLを実践する場合には,各単元及び内容との関連性を明確にすることが必要である。1990年代のSLでは,その視点が不明確であった。しかし,2000年代に入ってからの各州のカリキュラム改訂期には,SLを教科の目標及び内容と関連付けて議論しようとする文献が増えている。これらの文献から多くのヒントを得ることができる,という判断に至った。 第3に,以上の問題意識を持って,再びアメリカのマサチューセッツ州及びミネソタ州を訪問し,州の行政官や教育系NPOの職員から情報を収集しながら,教科の中にSLを位置付ける方法を明らかにした。特に,マサチューセッツ州の"Community Lessons"(2001)は興味深い事例集で,そこでは,州カリキュラムに示された各教科の目標及び内容と関連させてSLの可能性が探られている。今後の課題として,このような文献を参考にしながら,学習指導要領との関連において日本のSLの可能性を検討したい。
|