研究概要 |
研究1 P^n上の階数rのベクトル束Fで,c_1(F)=3となるものの分類を得るために,A.LangerによるP^2上のネフかつ巨大(big)なベクトル束Fでc_1(F)=3となるものの分類の手法を研究した.その過程で,E,BallicoとJ.A.WisniewskiによるBanica層の研究が重要な役割を果たしていることがわかったので,それについても研究した.その結果,いくつかの微妙ではあるが大切と思われる技術的問題点が明らかになった. 研究2 射影空間内の代数多様体の射影幾何学的性質をJ.M.Landsbergは微分幾何的手法によって明らかにしてきている.しかし,代数幾何的手法を主とする筆者には,従来は,彼の手法の背景がうまくつかみきれないこともあってか,その証明などは理解できなかったり,理解するのに非常な困難を伴うことがしばしばであった.しかし,今年度,科研費により,彼とT.A.Iveyによる共著の本Cartan for Beginners : Differential Geometry via Moving Frames and Exterior Differential Systemsを手に入れたことで,状況がかわり,彼の手法に関する理解が大幅に進んだ.そこで,Landsberg的手法を知りたいという代数幾何系の研究者に,彼の結果と手法を,代数幾何的視点を交えながら,紹介してまわった.より具体的には,都留文科大学での「代数幾何学都留ワークショップ2005」で3回連続講演し,その後も早稲田大学におけるセミナーで3回講演して紹介した.この過程で,Higher order Fubini formsに関する新たな知見が得られたように思われる.このことがどの程度の意味をもつのか,現在,研究中である.
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