配分額 *注記 |
3,800千円 (直接経費: 3,800千円)
2005年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
2004年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
2003年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
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研究概要 |
3次元球面内の結び目に沿うデーン手術(Dehn surgery)でレンズ空間が生じる"例外的な"現象は「レンズ手術」と呼ばれ,低次元多様体論の研究課題となっている.筆者の最近数年間の研究は,次のような予想として要約できる:多くのレンズ手術は,A'Campoが特異点論の研究の中で定義したdivide knotであり,対応する平面曲線は「L型の領域に沿って斜めの格子を切り取った形状」をしている.さらに,このときのL型領域の面積はレンズ手術の手術係数に等しい. この予想を,4次元多様体論的な観点(枠付き絡み目の手法)を中心とした視点から考察した. 以下は,その具体的な成果である. (1)筆者の最初の発見は,非常に限られたL型領域の場合で「TypeVIIのレンズ手術」族に対応する.この発見は本年度内に論文として出版された. (2)前項(1)の族を少し拡張したL型曲線を,その領域の面積を係数として手術した場合にはレンズ空間にはならないが,グラフ多様体ではあることが証明された.つまり,予想の逆にあたる命題は安易には成立しない.この結果も本年度内に論文として出版された. (3)次に,前々項(1)に比べて,より一般的なL型領域について考察し,「TypeI」から「同V」までのレンズ手術について予想が誤差1以内で正しいことが示された.言わば,一般的なレンズ手術について概ね予想が解決されたことになる.この成果は,8月の大連(中国),12月の早稲田大,2月の広島大の研究集会で講演した. (4)レンズ手術の典型的な具体例である結び目P(-2,3,7)について,門上晃久氏(大阪市立大)との共同研究へと発展した具体的な等式を,この結び目にまつわる各種の興味と合わせて包括的に解説した論文も出版された. これらの講演・執筆では,本年度購入したプリンタの効果は大きかった.
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