研究概要 |
平成15年度において申請者は「同変チャーン・マクファーソン変換」の定式化・理論的基礎を与え,平成16年度においては,この理論の応用の端緒を開いた. 数理物理等との関係から,近年,オービフォルドやヒルベルト概型などの関する「(オービフォルド・)オイラー数に対する母関数」について多く研究が進められているが,申請者の試みは,これら既存の方針とはある意味で一線を画している.まず申請者は代数多様体の対称積に関して「同変オービフォルド・チャーン類」の母関数を導いた.これはオービフォルド・オイラー数に対する母関数の「ホモロジー類版」としての一般化である.さらに,より一般に「(任意の)群の置換表現に付随する同変チャーン類」の母関数(いわばチャーン類に関するデイ・ヴォールファルト型公式)に発展させた.これは空間が一点の場合,代数的数え上げ理論におけるデイ・ヴォールファルト公式に一致する.渦巻き積(wreath product)表現に関しても同種の公式を得た. 次のターゲットは,対称積の特異点解消として現れる種々の空間(配置空間のコンパクト化あるいはヒルベルト概型)に関するチャーン類の母関数である.さらに,より一般の空間概念である代数的スタックに対して、もっとも自然な"チャーン類理論"が上記「同変チャーン類」を"張り合わせる"ことで得られると予想している.また與倉氏(鹿児島大)らのモティヴィック・チャーン類理論の「同変版」は大変有望である.統一的な「同変特性類理論」の構築が期待される.
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