配分額 *注記 |
3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
2005年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
2004年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
2003年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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研究概要 |
この研究の当初の目的は,A'Campoが1990年代後半に構成したディバイド絡み目の概念を深く研究し,さらにその拡張を構成することにより,準正絡み目と代数曲線の幾何学的関係をより明らかにしていくことであった.それに関連して昨年度末より,この数年の間に新たに定義された結び目不変量の性質を調べ始めたところ,大変興味深い結果が得られた. Khovanovホモロジー理論を基に構成されたRasmussen不変量という新しい結び目不変量に関し,ベネカン不等式と類似の評価式が成立して系として結び目の4次種数のベネカン不等式の別証明が得られることが,昨年度までにPlamenevskayaやShumakovitchによって示されたが,今年度川村は評価式の改良版を構成し,系としてRudolphによって改良された4次種数のベネカン不等式の結び目についての別証明を与えた.また,同じ議論によって結び目フレアホモロジー理論を基にRasmussen不変量に先立って構成された別な不変量についても類似した結果を得た.これらの結果は論文にまとめて投稿した.さらに今年度後半からは,評価式のさらなる改良版を構成し,以上の結果はまとめて国内外で口頭発表した. この結果は結び目および絡み目の新しい複雑な不変量の評価を射影図の情報から比較的容易にしかもある程度の精度で可能にしたことで,様々な研究に広く応用される可能性が大きい.また,準正絡み目がこの研究の中で扱う不変量の評価式の等号を成立させることも注目すべき点で,その幾何学的意味の考察は将来も広い分野において継続すべき課題である. 関連研究の予定だった以上の研究が当初の予想より重要度が高かったために時間も費やしてしまい,準正絡み目を全て表すディバイドおよびグラフディバイドの絡み目の拡張の可能性については残念ながら新たな結果を得るには至らなかったが,将来的にはその課題に留まらない大発展が予想される成果が得られたことで,この研究は成功であったといえる.
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