高次のWiener汎関数を位相関数とする振動積分型期待値の漸近挙動の研究を目標として念頭におきつつ、特に2次の場合について具体的な対象をexactに計算することによって、その性質を調べている。現段階では、2次の汎関数を位相として持つ場合に、上記の量がグラスマン多様体上の点と対応し、その上の力学系を記述すること、ソリトンに関係した方程式など、非線型な微分方程式との関係があることが分かっており、また他の確率論的な問題とも関係するいくつかの具体的な例が計算されている。特に本年度は、2次の場合で、かつ有限次元的な構造を持つとき、この量を複素関数と見たときの全平面解析性から、有限次元行列式による記述が容易に導かれることが分かり、現在、仮採択論文を改訂審査投稿している。次年度はここまでの情報をふまえて、3次以上の位相関数を持つ場合の具体例を探していくことが主目標となるだろうと考えている。
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