研究概要 |
本年度はまず研究代表者を含む研究グループが導入した大きい作用素を有する単純極型作用素のクラス(K)やクラス(M)についての研究を行なった.それぞれのクラスについての方程式の特異点における局所理論は既に完成している(現在投稿準備中)ので,大域的なStokes幾何学の構造についての考察を主として行なった.特にクラス(M)の場合は局所理論で関係してくる二つの特性根以外にも,方程式の特異点において極を持つ特性根が表われるので,そういった特性根がStokes幾何に如何に影響を与えるかを中心に考察した. また高階パンルベ方程式の構造について調べた.高階パンルベ方程式のうちGordoa-Joshi-Pickeringによって2001年に導入された,P_<IV>階層,及びP_<II-2>階層がそれぞれ退化Garnier系の一種である川向系及びA_g系のt_1方向の方程式系と同値であることがわかった.Gordoa達はnon-isospectral scattering methodを通して彼らの高階パンルベ方程式を導出したが,退化Garinier系と関係していたという事実はとても興味深いと考えられる. またKdV階層に斉次条件を課すことで得られるP_<II>階層も川向系にある種の退化を考えることで得られることが期待できる.その期待の証明を試みた.
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