研究概要 |
本研究課題である種数3のコンパクトリーマン面の取り得る極限円板の個数は完全に求めることが出来た。これらのコンパクトリーマン面のうち、極限円板を2個含むものが等角同値の意味で16種類見つかった。それらは等角同値及び反等角同値の意味では12種類になることも解明できた。そしてそれぞれのコンパクトリーマン面の自己同型群を求めることもできた。この結果はKodai Math.J. Vol.28(2005)pp.111-130に掲載された。これら12種類のリーマン面を、その基本領域である正30角形の辺の貼り合わせの考察から描画することができた。また、これらのうちで超楕円的でないリーマン面に対しては、不確定のパラメーター付きではあるが、周期行列を表現することが出来た。このうちの一つのリーマン面について、4月の名古屋大学ポテンシャル論セミナーで発表した。8月に愛知県労働者研修センターで開催された第39回函数論サマーセミナーにおいては、別のリーマン面の周期行列について発表した。この他に極限円板の性質を用いて、2以上のすべての種数に対して、極限円板を持つ超楕円的リーマン面で、Weierstrass pointが明記できるものを構成した。また、3以上の種数に対して、極限円板を持つリーマン面で、自明でない自己同型写像を持たないものも構成できた。この結果は12月に東京工業大学で開催された「リーマン面・不連続群論」研究集会で発表した。そして1月にアトランタで開催されたJoint Mathematics Meetingsでは、主結果である種数3のコンパクトリーマン面に対する極限円板の個数とその埋め込み位置、及び自己同型群について発表した(Abstracts, Vol.26,No.1(2005),p.78)。
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