研究概要 |
本研究の目的は、大強度粒子線形加速器における、超高速・高効率なビーム安定化システムの開発研究である。具体的には、KEK入射器で開発・使用されている8電極ビームモニタを用いてビームエネルギー広がり・変動を計測し、励振系RF波形を振幅位相変調することによってこれらの変動を高精度に抑制する。本システムを用いれば、ビームのエネルギー広がり及び変動を高精度に補正することが可能となり、線形加速器の性能及び利用実験の測定精度を飛躍的に向上させることが期待される。本研究は、下記の三項目から構成される。 (1)ビームエネルギー変動抑制のための超高速・高精度フィードバック制御システムの開発。 (2)シングルバンチビームのエネルギー広がり補正(ビーム試験) (3)任意波形マルチバンチビームのエネルギー広がり補正(ビーム試験)。 まず、項目(1)の超高速フィードバック制御システムの開発研究を行った。本制御システムは、Compact-PCIを用いた高速CPU及びA/D, D/A(2Ch,12-bit,100-MHz)ボードから構成される。Compact-PCIは、工業用制御機器に広く普及しているPCIバス規格であり、将来的なシステムの拡張性に優れている。 平成16年度は、本制御システムをKEK入射器のRF励振系(50-Hz,4-μs)へ組み込んだ場合を仮定し、制御システムの処理速度評価を行った。その結果、最大ビーム繰り返し50-Hzにおいても、本システムを用いればフィードバック制御可能であることが確認された。また、高速・高精度なフィードバック制御を行うための、演算アルゴリズムを開発した。(2),(3)のビーム試験に関しては、マシンスタディ時間配分の都合上実現できなかったが、平成17年度中に実施する予定である。ビーム試験において、安定したフィードバック制御動作を確認後、実運転へのシステム組み込みを行う予定である。
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