研究課題/領域番号 |
15740186
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
物性Ⅰ
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
三村 功次郎 大阪府立大学, 工学研究科, 講師 (40305652)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2005
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研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
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配分額 *注記 |
3,700千円 (直接経費: 3,700千円)
2005年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
2004年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
2003年度: 2,700千円 (直接経費: 2,700千円)
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キーワード | 角度分解光電子分光 / 共鳴光電子分光 / 希土類化合物 / 薄膜単結晶成長 / 正弦波変調磁気構造 / RKKY相互作用 / 近藤効果 / スピン揺らぎ / 反射高速電子線回折 |
研究概要 |
本研究の目的は、CeSi薄膜単結晶を成長し、in situでの温度可変角度分解光電子分光実験からバンド構造を明確にすることで、CeSiがもつ正弦波変調磁気構造の起源を明らかにすることにある。 角度分解光電子分光実験に必要となる薄膜単結晶試料の成長においては、結晶方位を決定することと共に、蒸着源からの蒸発量や、基板温度の正確な制御が重要な要素となる。これまで基盤の清浄化、蒸着源の整備を行ってきたが、本年度はクリーニングを行ったSi(111)基板上にCeを蒸着し、Si中にCeを拡散させることでCeSiの薄膜単結晶の育成を試みた。Ceの蒸着レートおよびSi基板温度を変化させながら最適育成パラメータの洗い出しに努めたが、Ce:Si=1:1の薄膜育成は困難を極めた。一方で、Ce:Si=1:2のCeSi_2を育成することが出来た。この試料のCe3dXPSスペクトルをin situで測定したところ、近藤効果を示すCe化合物に典型的な4f^2終状態による構造が明瞭に観測された。 また既存のCeSiバルク試料に対して実施したCe4d-4f共鳴光電子分光実験からCe4f電子状態の温度依存性に関する情報を得た。フェルミ準位近傍の4f状態の詳細な解析から、CeSiの共鳴光電子スペクトルの温度依存性は、RKKY相互作用と近藤効果の競合により生じるものであることを明らかとした。 さらに、ごく最近発見されたEu化合物EuSnP(ネール温度T_N=21K)の角度分解光電子分光実験へと研究を発展させた。EuSnPはNbCrN型の単純正方晶であり、c-軸方向に積層した2枚のEuPシートがコルゲート状のSnシートによって隔てられた特徴を持つ。測定はT_N以下の10Kで行った。得られたフェルミ面マッピングより、層状の結晶構造を反映した開いたフェルミ面が観測された。この結果は、単結晶試料を得ることがこれまで困難であったEu化合物においては画期的なことであると考えている。
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