研究課題/領域番号 |
15740187
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
物性Ⅰ
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研究機関 | 上智大学 |
研究代表者 |
欅田 英之 上智大学, 理工学部, 助手 (50296886)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2005
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研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
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配分額 *注記 |
3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
2005年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
2004年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2003年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
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キーワード | 多重量子井戸 / サブバンド遷移 / 光非線形性 / 光通信波長帯 / ポンプ・プローブ法 / 非縮退ポンプ・プローブ法 / サブバンド間遷移 |
研究概要 |
GaN/AlN量子井戸は伝導帯のバンドオフセットが大きく、光通信波長帯でのサブバンド遷移(ISBT)を実現できる。サブバンド間遷移ではLOフォノンとの強い結合が存在する為、非輻射緩和が100fs程度と高速であることが予想され、高速非線形材料として非常に有望である。これまでは十分なサブバンドエネルギー間隔がある薄い井戸層を持つ量子井戸構造を作っても、光非線形性を直接測定できるほどの高ドープ濃度でかつ良質な試料の作成が困難であったため、GaN/AlN量子井戸のサブバンド間遷移に対する光スイッチング特性(非線形光学定数及び緩和過程)を評価した例はほとんど無かった。本研究では昨年度までにGaN/AlN量子井戸構造におけるサブバンド間遷移に共鳴した三次光非線形性の評価を行ってきた。さらにこのサブバンド間遷移の緩和を詳細に調べ、そのエネルギー依存性から緩和のメカニズムを調べた。 本年度は、昨年度までに作成した光学系を用い、ポンプ光よりもプローブ光が先に到達するいわゆる「負の」時間領域でもポンプ・プローブ分光を行った。その結果、従来の半導体における結果と異なり、ポンプ光とプローブ光の波長が大きく離れている場合にも周波数軸上でコヒーレントな振動が観測された。また、信号の遅延時間依存性より、この系の位相緩和時間が、理論計算から求められている値よりも一桁長い可能性があることを明らかにした。この結果は、サブバンド遷移における電子の緩和が、単なる一電子-フォノン間の相互作用では記述できないことを示唆している。
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