研究課題/領域番号 |
15740195
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
物性Ⅱ
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
青木 大 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (30359541)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2004
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研究課題ステータス |
完了 (2004年度)
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配分額 *注記 |
3,700千円 (直接経費: 3,700千円)
2004年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
2003年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
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キーワード | 超ウラン化合物 / 5f電子 / ドハース・ファンアルフェン効果 / フェルミ面 / Np-115 / 重い電子系 / ネプツニウム化合物 / フラックス法 |
研究概要 |
PuCoGa5の超伝導の発見によって、超ウラン化合物の物性研究の重要性はより一層認識されるようになった。超伝導の磁性の関係を調べる上で、フェルミ面観測により電子状態を調べることは必要不可欠であるが、これまで超ウラン化合物のフェルミ面観測は全く行なわれていなかった。これは、超ウラン化合物が強い放射能を伴い、実験的に取り扱うことがきわめて困難だからである。 本研究では、同じ超ウラン化合物NpNiGa5、NpCoGa5、NpRhGa5、NpFeGa5、NpPtGa5の純良単結晶を育成し、そのドハース・ファンアルフェン(dHvA)効果を測定することでこれらの化合物のフェルミ面を明らかにした。超ウラン化合物におけるdHvA効果の観測はもちろん、フェルミ面の形状までが明らかにされたのは、世界でも初めてである。 このうち、NpCoGa5の2種類のdHvA振動数は、ほぼ1/cosθの角度依存性を示し、2種類の円柱状フェルミ面(2次元フェルミ面)から成り立っていることがわかった。しかも、伝導電子の有効質量は通常の10倍程度も重くなっていることが分かった。これはすなわち、正方晶の結晶構造のうちPuGa3の層が伝導を担い、CoGa2の層がほぼ絶縁層に近い層になっていることを示す。Npの5f電子は雲のようにゆっくりとたなびいて遍歴しており、重い電子状態を形成している。このように超ウラン化合物で電子状態が決定されたのは初めてのことであり、その成果は日刊工業新聞、常陽新聞でも報道された。 さらにNpRhGa5においては反強磁性状態でのフェルミ面が明らかにされた。磁気ブリルアンゾーンの折り畳みによって、4種類の円柱状が存在する。実験結果は、5f電子を遍歴としたバンド計算で説明できる。5f電子が伝導のみならず磁性も担っていることが、実験とバンド計算の両方から明らかになった。
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