研究課題/領域番号 |
15740211
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
物性Ⅱ
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研究機関 | 独立行政法人理化学研究所 |
研究代表者 |
竹中 康司 独立行政法人理化学研究所, 高木磁性研究室, 研究員 (60283454)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2004
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研究課題ステータス |
完了 (2004年度)
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配分額 *注記 |
3,800千円 (直接経費: 3,800千円)
2004年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
2003年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
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キーワード | 不良金属 / 強相関 / モット転移 / 光学伝導度 / ドルーデ応答 / マンガン窒化物 / 磁気体積効果 / 負膨張 / モット半導体 / 抵抗率飽和 / 動的局在 / 遷移金属窒化物 |
研究概要 |
より広い視点からモット転移やモット半導体の物理を研究するため、(BEDT-TTF)_2X系など、電子相関が重要と考えられている低次元有機分子固体の金属絶縁体転移や転移近傍の金属相における電子構造・電子状態を反射分光により調べ、遷移金属化合物との比較を行った。中でも、(BEDT-TTF)_2X系では比較的正常金属に近いとされていた(BEDT-TTF)_2I_3について反射率の詳細な温度変化測定を行い、次の点を明らかにした。(1)電気抵抗率は測定された全温度領域で金属的な温度依存性を示すが、最低温度4Kを除き光学伝導度には金属伝導に特徴的なゼロエネルギー・ピーク(ドルーデ・ピーク)が観測されず、代わって局在的な赤外ピークが観測された、(2)通常金属とは異なり、温度上昇により低エネルギー域のスペクトル強度が顕著に減少し、これが抵抗率の金属的温度依存性を生み出す、(3)減少したスペクトル強度は1eVを越える高いエネルギー域に移行する。このような振る舞いは、モット転移近傍にある遷移金属化合物金属相と本質的に同じであり、強相関系の普遍的特徴:である。とりわけ赤外ピークは強相関電子におけるコヒーレンス発達の過程を特徴づけるもので、その起源は今後の興味深い課題である。 強相関物質の新しい探索舞台として遷移金属窒化物に着目し、その機能開拓と電子状態解明を試みた。今年度は、多彩な磁気的性質と大きな磁気体積効果で知られる逆ペロフスカイト型マンガン窒化物Mn_3XNについて、元素の部分置換が物性に与える影響を調べた。その結果、Xサイトの元素置換により磁気転移を散漫にすることで磁気体積効果による体膨張が緩やかになり、負の熱膨張が実現されることが明らかになった。また、光学伝導度は遠赤外域の鋭いドルーデ・ピークと中赤外から可視にわたる幅広い吸収の2成分構造となっており、強いインコヒーレントな電子状態が示唆された。
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