配分額 *注記 |
3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
2005年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2004年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2003年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
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研究概要 |
平成17年度マダガスカルと、南インドにおいて得られた試料から、大変に興味深い結果を得ることができた。この地域は、ゴンドワナ超大陸の一部で炭素の地殻とマントルのソースを研究するのに適当な地域である。マダガスカルのAntsirakambo鉱山でに採取されたカルクシリケイト質片麻岩とそれを貫く優白色花崗岩脈に含まれるグラファイトの結晶成長とその起源を明らかにするために、石墨結晶の微少炭素同位体の精密測定、異なった形態のグラファイト結晶のラマンスペクトルを測定した.カルクシリケイト片麻岩中のグラファイトはほぼ自形を示し,ラマンスペクトルは,オーダード結晶を示すスペクトルのみからなり,花崗岩脈中のグラファイトは自形を示す結晶の表面に細粒グラファイト結晶の集合体であるスケルタルグラファイトが見られ、ディスオーダースペクトルが特徴的に見られた. 炭素同位体の結果から、カルクシリケイト片麻岩のグラファイトは-13.8‰,カルサイトは-10.3‰を示し,それぞれ非常に一定値を示した.この事は,グラファイトと共存するカルサイトが炭素同位体平衡の関係にあることを示し,同位体地質温度計を適用すると変成温度は,約760℃であると見積もることができた。また,産状から,それぞれの炭素の起源は,有機物(約-26‰)と海洋起源炭酸塩(約0‰)と考えられるが,広域的な石灰岩のスカルン化を伴う変成作用を受けて現在のグラファイト(-13.8‰),カルサイト(-10.3‰)に変化したと考えられる.花崗岩脈のスケルタルグラファイトだけからなる試料の炭素同位体比は-15.5‰,自形を示す結晶の表面にスケルタルグラファイトが成長しているものの全体の平均値は-12.9‰で、同位体的累帯構造の平衡関係を調べたところ,明瞭な累帯構造を示しコアからリムに向かって3.2‰も軽くなっていることが分かった.これらの炭素安定同位体比の結果から,自形グラファイトとスケルタルグラファイトは形成時期が異なり,スケルタルグラファイトは二次的に形成されたことを示唆している. ほかに、46次の南極調査に参加し、石墨試料の同位体研究を行い、堆積起源の変成岩では、南インドのデーターと比較できる結果を得て、東ゴンドワナの断片において、炭素から見た地殻の進化を議論できるところに進展し、近々、公表される予定である。
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