研究課題/領域番号 |
15740309
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
層位・古生物学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
佐々木 猛智 東京大学, 総合研究博物館, 助手 (70313195)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2005
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研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
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配分額 *注記 |
3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
2005年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
2004年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
2003年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
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キーワード | 軟体動物 / 腹足類 / 殻体構造 / 稜柱構造 / 交差板構造 / 葉状構造 / 柱状真珠構造 / カサガイ類 / ワタゾコシロガサガイ類 / アマオブネガイ類 / 進化過程 / 系統関係 / 比較解剖 |
研究概要 |
軟体動物腹足類の殻の微細構造を比較し、系統との関係を明らかにすることが本研究の目的である。原始的な腹足類を中心に比較を行い、下記のような結果を得た。(1)カサガイ類は腹足類中、最も多様な微細構造を持つ。主に、稜柱構造、交差板構造、葉状構造からなり、それらに加えて交差葉状構造、複合交差構造などの複雑な構造を持つ種がある。細分すると、カサガイ類には17の殻体構造が識別され、それらの構造の組みあわせには20通りのパターンがある。(2)古腹足類は腹足類の中で唯一柱状真珠構造を持つことで特徴付けられる。螺層の内部に形成される内層には交差板状構造が特徴的に見られるものがある。しかし、これらの構造は古腹足類の中の一部にしか見られず、古腹足類全体に共通する構造はない。(3)アマオブネガイ類は主に交差板構造を持ち、殻の最外層には薄い均質構造を持つ種が多い。科や属レベルでの顕著な違いは少ない。(4)新生腹足類は主に稜柱構造と交差板構造を持つ。殻の最外層には薄い稜柱層、内側に厚い交差板構造を持つものが多い。これらの結果を外群の殻体構造と比較すると、腹足類の殻体構造は下記のように進化したものと考えられる。(1)外群と最も共通性の高い構造は交差板構造である。この構造は軟体動物の多くのグループに共通する。従って、祖先的な形質である。(2)腹足類の柱状真珠構造は、古腹足類の祖先形質ではなく、古腹足類の一部で生じた後に複数のグループで消失したと考えられる。(3)葉状構造は、カサガイ類の一部にしか見られない。この形質はそれらのグループの派生形質である。(4)カサガイ類と古腹足類を除く腹足類は、殻体構造の組成が比較的単純である。原始的な腹足類は多様な微細構造を持っていたが、次第に構造が均質化する方向に進化した傾向が見られる。
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