研究概要 |
裏面の"雑誌論文"に記載した論文ごとに研究実績の概要をここに記します。 (1)Toshikatsu Koga and Hisashi Matsuyama, Interelectronic angular analysis of electron repulsion energies in many-electron atoms, Journal of Physics B : Atomic, Molecular and Optical Physics誌,38巻,20号,2005年,3687ページから3692ページまで (概要)多電子原子あるいはイオンについて、任意の電子1と2の間の角度θ_<12>の関数として電子間反発エネルギーW=<r_<12>^<-1>>の分布を調べるために電子間反発エネルギー密度W(θ_<12>)が定義された。ここで、r_<12>は任意の電子1と2の電子間距離である。一般に、電子間反発エネルギー密度W(θ_<12>)はルジャンドル多項式の線形結合によって表されることがわかった。その展開係数の式が行列式で表現される波動関数について与えられた。具体的な例として、ヘリウム原子の基底状態について、Hartree-Fock近似波動関数と電子相関を考慮した波動関数から電子間反発エネルギー密度W(θ_<12>)が作られた。 (2)Hisashi Matsuyama, Toshikatsu Koga, and Yoshihisa Kawata, Subshell-pair correlation coefficients of atoms in momentum space, Theoretical Chemistry Accounts誌,2006年,印刷中,web上で公開 (概要)ヘリウム原子からローレンシウム原子までの102個の中性原子の基底状態について、副殻nlの電子の運動量と副殻n'l'の電子の運動量の間の相関係数τ^<nl,n'l'>[P]が計算された。ここで、nは主量子数、lは方位量子数である。理論的な考察から、電子の運動量は負に相関するか全く相関しないかのどちちかであることがわかった。すなわち、|l-l,|=1の時、τ^<nl,n'l'>[P]<0である。一方で、|l-l'|≠1の時、τ^<nl,n'l'>[P]=0である。計算結果から、ヘリウム原子、リチウム原子、ベリリウム原子を除いて負の相関係数は1s副殻と2p副殻の間で最も大きいことが見出された。このことは運動量空間において1s副殻の分布と2p副殻の分布が最も広がっていることと深く関係している。
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