研究課題/領域番号 |
15750007
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
物理化学
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
川井 清彦 大阪大学, 産業科学研究所, 助手 (50314422)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2004
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研究課題ステータス |
完了 (2004年度)
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配分額 *注記 |
3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
2004年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2003年度: 2,600千円 (直接経費: 2,600千円)
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キーワード | DNA損傷 / レーザー / 光化学 / 光線力学療法 / DNA-電子酸化 / 二波長二レーザー / 癌治療 / DNA一電子酸化 / 電子移動 |
研究概要 |
皮膚ガン、胃ガンの治療法の一つとして、近年光線力学療法(PDT)が注目されている。高齢、心不全、他の病気の直後で外科療法が困難な患者に対して特に有効な治療法となりうる。PDTによる合併症等の報告例はほとんどないが、唯一日光過敏症が問題となつている。したがって、外用した光増感剤が代謝されるまでの数週間にわたり遮光が必要となる。そのため、出来る限り外用する増感剤の量を減らす事が望まれる。また、光源としては比較的高強度のパルスレーザーを必要とし、治療時間を要するため照射面積に制約をうけ、一定期間に治療しうる患者数も制限される。そこで、PDT普及のためにも少量の光増感剤を用いた高効率DNA切断法の開発が望まれる。本研究では、2波長2レーザー励起法を用いた高効率DNA切断法の開発を目指した。一般的に、DNA光増感一電子酸化反応の量子収率は極めて低い。それは主に、電子移動反応によりDNA中に生じたラジカルカチオンと増感剤ラジカルアニオンの間の電荷再結合に由来する。そこで、我々は二段階目に透過性の高い長波長のレーザーを用いてラジカルアニオンを励起し、電子を溶媒中に放出し、電荷再結合を妨げるととによる高効率DNA切断を検討した。昨年度、二段階目のレーザーを用いて、増感剤ラジカルアニオンから、溶媒へと電子放出が可能であるか検討した。その結果、溶媒へと電子を放出できること確認した。本年度は、実際に2波長2レーザー照射法がDNA損傷効率に与える影響について調べた。その結果、一段階目のレーザーのみ、二段階目のレーザーのみを用いた場合と比較し、2波長2レーザー照射により最大で10倍以上の損傷の増加が観測され、2波長2レーザー照射の原理をPDTへと応用可能であることが示された。
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