研究課題/領域番号 |
15750059
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
無機化学
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研究機関 | 特殊法人日本原子力研究所 |
研究代表者 |
尾崎 卓郎 特殊法人日本原子力研究所, 先端基礎研究センター, 研究員 (50322673)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2004
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研究課題ステータス |
完了 (2004年度)
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配分額 *注記 |
3,100千円 (直接経費: 3,100千円)
2004年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
2003年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
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キーワード | 吸着状態 / 3価キュリウム / 微生物 / 時間分解レーザー誘起蛍光法 / 配位状態図 / 3価ユウロピウム |
研究概要 |
3価キュリウムの微生物上での配位状態を解明するためには、キュリウムと化学的性質カミ類似し取扱いが容易である3価のユウロピウムの利用が有効である。そこで、微生物および微生物膜構成高分子とユウロピウムおよびキュリウムとの相互作用を調べ、両元素の吸着挙動を比較した。今年度は、新たに3種のグラム陰性微生物(Atcaligenes faecalis、Shewanellaputrefaciens、aracocc"sdenitrificans)と1種のグラム陽性微生物(Bacilluscereus)への両元素の吸着挙動を0.5%NaCl溶液中でpH3-5の範囲で調べた。その結果、全ての微生物について両元素は同一の吸着挙動(分配率の時間変化、pH依存性)を示した。この結果および前年度に得られた結果より、特異な性質を示す微生物種以外では、キュリウムの状態解明にユウロピウムの適用が可能であることを確認した。つづいて、時間分解レーザー誘起蛍光分光法(TRLFS)により上記微生物に0.5%NaCl溶液中で吸着したユウロピウムの配位状態を調べた。TRLFSにより得られた配位状態にっいての情報(内圏水和数、配位子揚の強度)を独自に開発した「配位状態図」により解析した結果、すべての微生物上のユウロピウムは細胞表面上の官能基が多座で配位することがわかった。一方、Paアacoccusdenitrificans上のユウロピウムは他の微生物上のそれより有意に強い配位子場中に存在することがわかった。ユウmピウムに強い配位子場を与えるのは高濃度のNaCl中で成育する好塩微生物の特徴であることを前年度に示した。Paracoccusdenitrificansを高濃度のNaCl溶液中で成育したところ、非好塩微生物では生育が困難な濃度(5%NaCl)でも容易に成育し、「配位状態図」により微生物の生理的な特徴が評価できることがわかった。また、微生物細胞表面官能基の主成分であるカルボキシル基やリン酸基を有する試薬に配位した3価ユウロピウムについて配位環境を評価したところ、高濃度のNaCl存在下でもParacoccusdenitrificansほど強い配位子場をユウロピウムに与えることができなかった。こ紺さ、Paracoccusdenitrificaris上の強い配位子場が高いイオン強度により形成される性質のものではなく、高濃度のNaCl存在下で成育する微生物の膜構造によることがわかった。廃棄物管理上の制約からキュリウムー微生物混合溶液の液量は少量にせざるを得ず、その場合のpH調整が極めて難しいことから、キュリウムを用いた系統的な研究には至らなかった。取り組むべき研究課題として今後とも研究対象とする予定である。
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