研究課題/領域番号 |
15750081
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
合成化学
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
吉見 泰治 福井大学, 工学部, 助手 (30345673)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2005
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研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
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配分額 *注記 |
3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
2005年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2004年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2003年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
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キーワード | 環境調和型有機反応 / 有機光反応 / 光感応性ミセル / 水中 / 水中における有機合成 |
研究概要 |
近年、環境に配慮した水中での反応が注目を浴びている。本研究では、水中における不均一系での有機光反応に注目し、ミクロな不均一系であるエマルション溶液中での光感応性界面活性剤を用いた研究を行っている。本年度では、疎水性部位にナフタレンを光増感剤として有するカチオン性界面活性剤を用いて、エマルション溶液中でのインデンのレドックス光増感反応を検討し、以下の知見を得た。 (1)光感応性界面活性剤の水溶液にジシアノベシゼン、シアノベンゼン、インデンを加え、攪拌すると白く濁ったエマルション溶液が得られた。この溶液を光照射するとアルコールが収率31%で得られた。種々の反応条件を検討したが、界面活性剤を用いた水中での不均一な系が一番優れている。これは界面活性剤がエマルション溶液中で効率よく働くためだと考えられる。 (2)カチオン性の界面活性剤をさらに添加すると、油滴のサイズが小さくなる。それに伴って、油滴と水の表面積が大きくなるので、反応の効率が大きくなる、しかし、より多くのカチオン性界面活性剤を加えると、油滴のサイズは小さくなるが、生成物の収率は低くなる。これは、油滴のサイズが小さくなりすぎると、界面における電荷(ここではカチオン)の影響を受けてこカチオンラジカルの生成が邪魔されるためだと考えられる。 (3)親水基をアニオンに変えた界面活性剤を用いるとアルコールの収率が極端に減少し、それ自身が脱カルボキシ化した化合物を与える。これは光照射により生成するカチオンラジカルが、カルボキシアニオンからの電子移動により消光されるためだと考えられる。 以上の結果は、エマルション溶液中で光感応性界面活性剤を用いたレドックス光増感反応の始めての例であり、ミクロな不均一系での特徴つまり油滴のサイズや界面活性剤の電荷が反応の効率を制御している興味深い結果である。
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