研究概要 |
有機層間絶縁膜で実績の高いポリイミドに着目し、スルホン酸をアルカリ可溶性基として導入し、"低誘電性を有するアルカリ現像可能な感光性ポリイミド"の開発を行った。昨年、1,3-フェニレンジアミン-4-スルホン酸、4,4'-オキシジアニリン(ODA)、および4,4'-ヘキサフルオロプロピリデンビスフタル酸無水物(6FBPDA)をトリエチルアミン存在下メタクレゾール中80℃で4時間、180℃で1.5時間攪拌することでスルホン酸を有するポリイミドを合成し、このフィルムに溶解抑止剤であるジアゾナフトキノン誘導体(S-DNQ)を加え感光性ポリマーとし、波長365のi線(露光量100mJ/cm^2)にて露光、工業ライン規格のアルカリ現像液にて現像を行った結果、10ミクロン幅のライン&スペースの解像が可能であることを見出している。さらに、このポジ型パターンを350℃で2時間加熱処理を行うことで、型崩れなく、スルホン酸の除去に成功している。 本年度はこの知見を基に、スルホン酸を有する種々のジアミンモノマー4種を合成し、これとODA、6FBPDAをコモノマーとして上記と同様の条件で重合を行った。得られたポリマーの分子量は16,000から34,000であり、フォトレジストとして用いるのにちょうど良い分子量であった。得られたポリマーはすべてフィルム形成可能であり、しかも強靭であった。スルホン酸の導入量はなるべく少ない方が除去も完全に行えるので、合成したポリマーのうちジアミン成分に2,2'-チオビス(5-アミノベンゼンスルホン酸)を有するものを選び、6割をこのモノマー、4割をODAとした時に得られるポリマーをマトリックスとした。このポリマーフィルムのアルカリ現像液に対する溶解速度は38nm/sであり、溶解速度としては適当であった。この系にS-DNQを加え、感光性ポリマーとした後、365nm光にてマスクを通して露光、アルカリ現像にてポジ型の画像を得た。このフィルムを350度にて加熱することでスルホン酸の完全な除去を確認した。
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