研究課題/領域番号 |
15750129
|
研究種目 |
若手研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
機能物質化学
|
研究機関 | 独立行政法人理化学研究所 |
研究代表者 |
藤沢 潤一 独立行政法人理化学研究所, 励起子工学研究チーム, 研究員 (20342842)
|
研究期間 (年度) |
2003 – 2004
|
研究課題ステータス |
完了 (2004年度)
|
配分額 *注記 |
3,300千円 (直接経費: 3,300千円)
2004年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
2003年度: 2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
|
キーワード | 光電気伝導 / 電荷移動遷移 / 高移動度 / 無機・有機ハイブリット物質 / 正孔ポーラロン / アーバック則 / 光導電性現象 / 一次元結晶 |
研究概要 |
無機・有機ハイブリッド擬一次元物質、メチルビオロゲン沃化鉛の光電気伝導について研究を行った。本物質は、沃化鉛一次元鎖とそれを取り囲むメチルビオロゲン分子から成り、特異的にワイヤースペーサ間電荷移動遷移を有し、その電子的励起により無機一次元鎖に単一種の光キャリア(電子または正孔)がドープされる(これをここでは光誘起変調ドーピングと呼ぶ)。この電荷分離状態では、一次元鎖内に電子および正孔を生成する場合に比べ、電子・正孔間の相互作用が小さくなり一次元鎖内の光キャリアの移動度が高くなることが期待される。実験の結果、沃化鉛一次元鎖から有機スペーサ分子(メチルビオロゲン)への電荷移動遷移により光電気伝導が顕著に誘起されることが明らかになった。さらに、光電流の励起スペクトルが電流の方向によって異なることを見出した。この実験結果は、一次元鎖方向とそれに垂直な方向の電気伝導が別種の光キャリアによって生じることに起因している。つまり、一次元方向の光電気伝導は一次元鎖内の正孔ポーラロンにより、それに垂直な方向の光電気伝導はメチルビオロゲン上の電子によると解釈できる。特に、一次元方向の光伝導は、アーバックテールという吸収の裾でピークをもち、これが一次元鎖内の正孔ポーラロンの輸送現象により説明された。さらに、一次元鎖内の正孔ポーラロンの移動度が、室温で非常に大きいこと(>>20cm^2/V sec)を見出した。この高移動度は、電荷移動遷移による光誘起変調ドーピングの効果と一次元鎖内の正孔ポーラロンがソリトン的な状態を形成していることに起因している。以上の実験から、無機・有機電荷移動量子細線結晶の特異な光電気伝導特性を解明することができ、さらに、ダイポーラ光電気伝導体の研究にとって重要な知見を得ることが出来た。
|