研究概要 |
HAADF-STEM法(high angle annular dark field - scanning transmission electron microscopy)により、Si_<1-x>Ge_x{111}積層欠陥の原子配列構造の観察に初めて成功した。この構造は従来のHRTEM(high resolution transmission electron microscopy)では分解能の不足により観測不可能であったが、従来から推測されていた剛体球モデルによる原子配列構造が現実に形成されていることを明らかにした。さらに、実験像と計算機シミュレーションとの詳細な比較により、欠陥部分にGe原子が周りよりも高い濃度で含まれる原子サイトが存在することを見出した。この構造はEELS(electron energy loss spectroscopy)やEDS(Energy dispersive X-ray spectroscopy)といった電子顕微鏡付随の他の分析手法によって検出することは困難であり、本手法の特長を最大限に生かした成果である。また、実際のデバイス材料への応用が期待されるTi/Si_<1-x>Ge_x/Si(100)系についてもHRTEMとEELSによる複合解析を行い、熱処理条件と反応生成物およびその構造の比較により、反応に寄与するSi, Ge, Ti原子の拡散と反応を明らかにした。上記の成果により、半導体中でのGe原子の拡散および反応挙動に関する情報・知見を得た。
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