研究概要 |
研究実績の概要は以下のとおりである. 本研究は,国産の数値手法である「離散変分法」を拡張することを目的としていたが,その中で特に「時間方向の精度の向上」について重点的な研究を行い,種々の知見を得た. まず,従来,6次までであった次数を,原理的には任意次数に上げる手法を開発した.これは微分方程式の数値解法におけるGeneralized Backward Difference Formula(GBDF)を援用することで達成された.簡単な例題において,実際に高い精度と安定性を持つことが示された. この手法では,離散スキーム全体を一気に,Bounary Value Methodとして解くことが必要となるが,一般にスキームは非線形であるため,それは高次元の非線形代数方程式の数値解法に帰着する.これを解く方法として単純な関数反復や,数値ライブラリによる数値Newton法などを試し,数値Newton法が様々な意味でコストが低く,実用的であることを確認した. さらに,上記の手法が保存/散逸型偏微分方程式の数値解法にも適用可能であることを示した.これは保存/散逸型偏微分方程式を,いったん空間方向のみ適切に離散化して保存/散逸型常微分方程式にし,それに対して上の手法を適用することで達成される.しかしGBDFは非常に計算コストの高い方法であるため,偏微分方程式の場合には本研究で得られた手法が必ずしも理想的ではないことも,各種数値実験により検証された.
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