研究概要 |
てんかんの診断や脳機能解析に応用される脳磁図逆問題(MagnetoEncephaloGraphy : MEG)において,頭部表面上,磁場の法線方向成分のみならず接線方向成分を計測するベクトル計測MEGが近年開発されている状況を鑑み,磁場ベクトルを観測量として脳内神経活動源を直接再構成する手法を確立した.具体的には,ベクトルグリーンの公式に適切な重みベクトル調和関数を適用することで,電流双極子をxy平面,もしくはリーマン球面上に射影した位置に関するモーメント問題を導出し,昨年度開発した解法が適用できることを示した.脳波(ElectroEncephaloGraphy : EEG)とベクトルMEG,もしくはベクトルMEGのみを観測量として再構成することができる.数値シミュレーションにより,10%程度の観測ノイズが存在する状況においても,頭部の上半球の観測データから電流双極子の個数,位置,モーメントを再構成できることを示した.以上は静磁場源の定位であり,磁場に関するポアソン方程式のソース推定逆問題に対する解法を構築したといえる. また本年度は,近年RFIDタグが様々なものに貼られるようになったユビキュタスコンピューティング環境下において,ID情報に加えその位置が情報の更新に用いる電波のソースとして推定できれば各種ロケーションアウェアなインターフェースが実現されることを念頭に,ヘルムホルツ方程式のソース推定としての高周波電磁場源定位アルゴリズムを構築した.特に近接場の空間勾配を計測するセンサユニットを開発し,計測した磁場,および磁場の空間勾配から,磁気双極子と見なせるタグの3次元位置をリーマン球面に射影した位置を直接求める手法を提案した.
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