研究概要 |
非比例・多軸の苛酷負荷状態下にある機器・構造物の健全性および信頼性保証(安全・安心)の点からも,適切な非比例多軸疲労の変形・損傷モデルを構築することは,設計技術者からも強い要望がある.しかしながら,いくつかの寿命評価モデルが提案されているが,ASME基準等に代わる寿命評価モデルの完成の域には至っていないのが実状である.その理由として, (1)非比例多軸負荷による疲労強度低下のメカニズムが明確になっていない. (2)寿命に及ぼす負荷経路の影響を考察するためには,十分な実験データがない. (3)研究室レベルでの寿命評価モデルはいくつかあるが,それを実際の設計に採用するためには強化・修正を要する.すなわち,設計現場で容易に使える寿命評価の具体的な手法の提示が必要. 等が上げられる.適切な多軸疲労設計基準を構築する上で,上述の(1)〜(3)の問題の解決方法,さらに,まだ表面化していない設計サイドからの要求や問題点を早急に調査研究する必要があった. 本研究では,多軸疲労強度設計基準を構築する上で,研究者と設計現場が抱えている諸問題の把握や国際的な動向等の調査,また,多軸疲労研究の成果の鍵を握る実験研究の調査および実験を行った.主な研究実施内容を下記に示す. (1)過去の研究の調査および動向調査(解決済及び未解決問題の把握) (2)研究者および設計現場の両サイドでの諸問題点の把握 (3)研究室レベルでの成果を設計規格・基準へ応用する場合の問題点の把握(研究成果の応用) (4)(1)〜(3)の諸問題を解決するための諸研究(課題)の提示 (5)(4)に伴う予備実験の実施と,次年度に続く実験研究の計画と実施準備 上記(1)〜(3)は,関連する研究グループや学会等との連携による情報収集および過去の研究成果から調査を進めた.その結果を踏まえて,必要とされている多軸疲労研究課題を提示((4))するとともに,その中で次年度に向けた重要且つ学内共同研究に結びつく実施可能な実験研究の企画((5))を行った.
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