研究概要 |
平成17年度 一般的に,機能性材料を用いた機能複合材料はその性質が非常に複雑であり,複合材料のみの知見からではその性質を全て明らかにすることは難しい.本研究で用いられる形状記憶合金を活用した新しい機能複合材料(以下,形状記憶合金複合材料)も同様であり,強化繊維である形状記憶合金,マトリックス樹脂の特性を熟知しなければ,その機能発現を十分に利用することは難しい. 本年度では,形状記憶合金複合材料の数理モデル化と形状記憶合金に生じる複雑な変形挙動の計測を試みた.以下に簡単にその成果を示す. 形状記憶合金複合材料の解析モデルの構築とその応用 前年度行った「形状記憶合金複合材料に生じる内部応力・変形・温度分布の計測」の結果からいくつかの仮定をもうけ,Shear-Lagモデルを用いることによりマトリックス内部応力分布の解析モデルを構築した.このモデルを用いることによって複合材料中に生じる応力・ひずみ分布さらには温度分布を記述することが可能である. 形状記憶合金に生じる不均一変形挙動に関する研究 形状記憶合金には,鋼におけるリューダース帯の伝ぱのような局部変形挙動が変形中に生じる.応用として形状記憶合金を用いるとき,この局部変形挙動が問題となる.本年度では,前年度構築した「不均一変形計測システム」を用いて,形状記憶合金平板の各種力学的負荷下(引張負荷,繰返し引張負荷など)での不均一変形挙動を調査した.
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