研究課題
若手研究(B)
本研究は、nm〜数十nmの振幅で、かつ従来用いられてきた数十kHzの周波数を超える領域の振動、つまり超高加速度ないし超高周波微小振動をマイクロ・ナノ加工に適用し、おもに延性を呈する材料について塑性変形を抑制すること、および接触時間を低減させ、熱応力や工具摩耗の原因となる摩擦熱の発生を抑制すること、さらにはそれらの加工メカニズムを解明することを目的とする。平成16年度は、(1)超高周波数微小振動を利用したμmオーダの電子顕微鏡内微小切削実験、および(2)3次元分子動力学シミュレーションモデルを構築し、それを用いて超高周波数微小振動援用切削に対する検討を行なった。得られた成果を以下に示す。1 振動工具の振動振幅のSEM観察により確認した上で、数種類の振動周波数・振幅の組み合わせにおいて、超高周波数微小振動援用切削実験を行なった。2 振動を付加させた加工実験において、最大振動速度が切削速度に比べ十分大きく、周期的に切削と非接触の状態を有する場合、慣用切削に比べて切りくずが細かく分断し円滑に排出されること、また、低速切削であっても、工具の上すべりが抑制され、慣用切削に比べて小さい切込み深さでの加工も可能になることを明らかにした。2 3次元分子動力学シミュレーションにより、振動を付加させた加工において、最大振動速度が切削速度に比べ十分大きく、周期的に切削と非接触の状態を有する場合、慣用切削に比べて塑性変形および切削抵抗の低減といった、2次元シミュレーションにおいて判明した効果に加え、バリの低減や切削痕形状の安定化にも効果があることを明らかにした。
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