研究概要 |
アセトンをシードとしたレーザー誘起蛍光法は,アセトンの蛍光強度が他のシードと比較して極めて大きいため,超音速流れの密度場を高時間・高空間分解で測定できる.しかし,アセトンレーザー誘起蛍光法で超音速流れ場の定量測定がなされた例は国内外を問わずこれまでにない.そこで,本研究では,このアセトンレーザー誘起蛍光法の超音速流れ場への適用を目的として,流体力学的に良く知られているオリフィスからの不足膨張噴流に本計測システムを適用した. YAGレーザーから発振した266nmのレーザービームを,複数のシリンドリカルレンズを組合わせた光学系によりシート状にしてから,噴流に照射した.レーザーで照射された噴流中のアセトンは励起状態になり,その後失活するときに蛍光を発する。この蛍光の強度分布をイメージインテンシファイア付きのCCDカメラで取得した.蛍光強度は理論的に密度の関数となっていることが,これまでの研究で明らかになっているので,パーソナルコンピュータにより蛍光強度を密度に変換した.また,本計測法の妥当性を評価するため,噴流軸上においてピトー圧測定を行い,流れの状態が等エントロピー変化している領域において,ピトー圧から密度を求めた.さらに,エンジニアリングワークステーションにより,数値シミュレーションを行い,噴流の密度分布を求めた.その結果,本計測システムで測定した流れ場の密度分布はピトー圧測定および数値シミュレーションで得られた密度分布と良く一致し,本計測システムにより超音速流れ場の密度が精度良く計測できることが示された.
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