研究概要 |
平成16年度は,三相高速電流制御回路を製作し実験により動作特性を確認した。三相電流制御回路には,高速A/D変換回路(変換時間50ns)とFPGA(Field Programmable Gate Array)を使用する。A/D変換器は7回路並列で使用し,三相の電源電圧・電流と三相電圧形変換器の直流リンク電圧を検出する。FPGAでは,電源電流の高速フィードバック制御と直流リング電圧のフィードバック制御を行う。FPGAの制御演算は約300nsであり,従来のディジタル電流制御器の制御遅延に伴う安定性の問題を解決することができる。また実験では,同じ制御回路に演算遅延を考慮することにより,提案する高速電流制御器と従来の電流制御器の制御特性の比較を行った。その結果,従来の電流制御器に比べ,提案する高速電流制御器は安定性を大幅に改善でき,フィードバックゲインを約4倍に設定することが可能になることを明らかに。また,高調波発生を行った場合,位相遅れを約1/2に低減できることを確認した。さらに,電源電圧に高調波を含む場合にも不要な高調波の流入を約1/4に抑制できることを明らかにした。また,これらの動作特性について,離散時間系フィードバックシステムとしてモデリングを行い,理論特性を導出した。以上の結果から,本研究で検討した高速ディジタル電流制御回路を電力用アクティブフィルタに適用することにより,高調波抑制特性の改善が期待できる。
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